現役日本人ボクサーの中で最も強いと称される選手、それが井上尚弥選手です。
史上初の高校7冠のタイトルを引っ提げ2012年に後楽園ホールでプロデビューしたのち日本のボクシングファンに衝撃を与え続けてきた井上選手ですが、バンタム級王者の現在もなお日本人初の偉業に挑戦しています。
その目標は日本人ボクサー初の4団体統一世界王者です。
長いボクシングの歴史の中でも4団体統一世界王者はわずか5人しかいないことがこの偉業を成し遂げる事がいかに難しいかを物語っています。
現在バンタム級には井上選手以外に4人の世界王者がいます。
WBAスーパー王者 | WBC休養王者 | WBO王者 | IBF王者 |
井上尚弥 | ノルディ・ウバーリ | ジョンリル・カシメロ | 井上尚弥 |
WBAレギュラー王者 | WBC暫定王者 | ||
ギレルモ・リゴンドー | レイマード・ガバリョ |
この記事では4団体統一王者を目指す井上選手の強さの理由とバンタム級での井上選手のライバルについての考察を紹介しています。
井上尚弥選手のプロフィール
まずは井上尚弥選手の簡単なプロフィールからご紹介します。
井上尚弥のプロフィール

井上尚弥
- 出身国 :千葉県相模原市
- 年齢 :27歳
- 身長 :165cm
- リーチ :171cm
- 利き腕 :右利き
- 階級 :ライトフライ→Sフライ→バンタム
- 通称 :モンスター(怪物)
- 獲得タイトル :WBSSバンタム級優勝
- :リング・IBF・WBAバンタム級王者
- :WBOスーパーフライ級王者 WBCライトフライ級王者
戦績 | 20戦 20勝 |
KO数 | 17KO |
KO率 | 85% |
世界戦 | 15戦 |
井上尚弥選手は史上初の高校7冠のタイトルを引っ提げ2012年にプロデビューを果たしました。プロデビュー後は日本記録をことごとく塗り替え、当時の日本最短記録を更新するプロ6戦目での世界王座獲得、2階級に渡り世界タイトルを27度防衛してきた名王者オマール・ナルバエスを相手に4度のダウンを奪う圧巻のKO勝利、フィリピンの閃光・5階級制覇王者ノニト・ドネアとのWBSS決勝での激闘等、その衝撃的な試合の数々は世界中のボクシングファンを魅了し続けています。
そして現在もなお井上選手の挑戦は続いています。
まさにモンスターという形容詞以外では現わせない程の圧倒的な強さを誇る井上選手ですが、その強さの理由を3つに分けて分析したいと思います。
①井上尚弥の強さ1 階級離れした圧倒的な攻撃力
井上選手の強さといえばまずは攻撃力が挙げられます。
井上選手は天性のパンチ力に加えて左右の腕から繰り出されるフック・アッパー・ストレート等あらゆるパンチで今までダウンを奪ってきました。
自身で仕掛ける攻撃力だけでなくカウンターセンスも超一流でずば抜けたものを持っています。
あらゆるパンチで相手選手をノックアウトする攻撃力はまさにモンスターです。
②井上尚弥の強さ2 日々の練習で培われた桁違いの基礎能力
次に特筆するべき強さは桁違いの基礎能力です。
この動画では拳を構えた場所からミットまで最短距離でパンチを繰り出している事が分かります。
ボクサーにとって基本動作を極めるという事はパンチのモーションを削る事に直結し、モーションの少ないパンチは対戦相手が躱し辛いパンチとなります。
世界レベルのボクサーでも本人独特の癖を持っている選手も存在しますが、井上選手の動きはボクシングにおいて重要な基本動作を完璧に実行していることが分かります。
ボクシングの基礎能力は才能だけでは成り立たず日々の厳しい反復練習の中で培われていくものですがそれを完璧に実行している井上選手の動きは強さの裏付けであり、ボクシングに対して非常にストイックな姿勢も現れています。
③井上尚弥の強さ3 攻撃力を活かすディフェンス力
最後に挙げられる井上選手の強さはディフェンス力です。
ボクサーは攻撃する時必ず相手の反撃を警戒します。ほとんどのボクサーは相手選手の反撃を警戒し、隙の生まれやすい強打は試合の中でも数える程しか打っていません。
しかし井上選手には決定打や反撃を殆ど貰わないディフェンスの上手さがあります。
このディフェンスの上手さこそが相手のパンチを恐れることなく井上選手の桁違いの攻撃力を最大限発揮することに繋がっています。
井上尚弥のライバル
ここまでは井上選手の強さについてご紹介しました。
続いてバンタム級の井上選手のライバル達についてご紹介します。
WBOバンタム級王者 ジョンリル・カシメロ

ジョンリル・カシメロ
- 出身国 :フィリピン
- 年齢 :31歳
- 身長 :163cm
- 利き腕 :右利き
- 階級 :フライ→Sフライ→バンタム
戦績 | 34戦 30勝 4敗 |
KO数 | 21KO |
KO率 | 61% |
世界戦 | 16戦 |
ジョンリル・カシメロはフィリピン出身の3階級制覇王者です。
間合いを詰める鋭いステップインと試合を一撃で引っ繰り返す強打が特徴的なボクサーです。その強打で下馬評を覆したアムナット・ルエンロエンやゾラニ・テテとの試合はカシメロのベストファイトと言えます。
やや変則的なスタイルでラフなボクサーをイメージしますが、カシメロは距離で相手のパンチを外す技術に長けていてカウンターでの一発も狙える事からラフなだけではなく高いボクシングテクニックを備えていることが伺えます。
井上選手との対戦には前向きな姿勢を貫いており本来コロナのパンデミックが無ければ今年の5月にはラスベガスで統一戦を行う予定でした。4王者の中で最も注目されており近い将来このカシメロとの統一戦の実現が期待されます。
【カシメロ vs アムナット】
WBCバンタム級王者 ノルディ・ウバーリ

ノルディ・ウバーリ
- 出身国 :フランス
- 年齢 :34歳
- 身長 :162cm
- リーチ :170cm
- 利き腕 :左利き
- 階級 :バンタム
戦績 | 17戦 17勝 |
KO数 | 12KO |
KO率 | 70% |
世界戦 | 3戦 |
ノルディ・ウバーリは現WBCバンタム級正規王者で井上選手が4団体統一を実現する上で避けて通れない選手です。
世界選手権で銅メダルを獲得しているアマエリートで、井上選手に引けを取らないフィジカルの強さに加えて接近戦・中距離戦においてアマチュア仕込みの高い技術を持っている強豪選手です。
井上選手の弟・井上拓真選手がプロ初黒星を喫した選手としても知られています。
本来であればノニト・ドネアとの防衛戦を行う予定でしたが先日新型コロナウイルスに感染し現在は休養王者として認定されています。復帰後はWBC同級暫定王者のレイマード・ガバリョとの王座統一戦も控えていることから恐らくは井上選手の4団体統一最後の相手となることが予想されます。
井上兄弟因縁のボクサーであることから実現すれば非常に面白い試合となりそうです!
【井上拓真 VS ノルディ・ウバーリ】
WBAバンタム級レギュラー王者 ギレルモ・リゴンドー

ギレルモ・リゴンドー
- 出身国 :キューバ
- 年齢 :41歳
- 身長 :161cm
- リーチ :170cm
- 利き腕 :左利き
- 階級 :Sバンタム→Sフェザー→バンタム
- 通称 :ジャッカル
戦績 | 22戦 20勝 1敗 1無効試合 |
KO数 | 13KO |
KO率 | 59% |
世界戦 | 12戦 |
五輪二大会金メダルの偉業を成し遂げ「アマチュアボクシングの神」と称されていたボクサーがこのリゴンドーです。
超人的な身体能力で相手の攻撃を無力するディフェンスこそがリゴンドー最大の武器で全盛期のノニト・ドネアをシャットアウトした試合は全世界に衝撃を与えました。
【リゴンドーのディフェンステクニック】
全盛期のリゴンドーはPFPランキング上位に名を連ねていて、そのあまりの強さに対戦相手が現れず試合が決まらない程でした。
攻撃・防御共に世界トップクラスの実力を持っていますが、ガラスの顎で打たれ弱いことが唯一の弱点です。ですがほとんどのボクサーはリゴンドーにパンチを当てる事さえままなりません。それ程のボクサーです。
井上選手が現在スーパー王座として在位しているWBAのレギュラー王者である事からベルトの優先度は高くはありませんがリゴンドー本人は井上選手との対戦を熱望しており、もし対戦が実現すれば世界最高峰の技術戦が期待されます!
WBCバンタム級暫定王者 レイマード・ガバリョ
レイマード・ガバリョ(右)
- 出身国 :フィリピン
- 年齢 :24歳
- 身長 :169cm
- 利き腕 :右利き
- 階級 :バンタム
戦績 | 24戦 24勝 |
KO数 | 20KO |
KO率 | 83% |
世界戦 | 2戦 |
ガバリョはファイタータイプのボクサーです。勢いのある選手でガンガン前に出て力強いパンチを振ります。モーションが大きくやや隙のありそうなスタイルですがパワーがあり高いKO率を誇ります。
エマヌエル・ロドリゲスとの試合で暫定王座を獲得したことから休養王者であるノルディ・ウバーリとの王座統一戦が行われることが予想されます。
↓ガバリョの関連記事はこちら
【試合感想】エマヌエル・ロドリゲス vs レイマート・ガバリョ WBCバンタム級暫定王座決定戦
【ガバリョのハイライトシーン】
フィリピンの英雄 ノニト・ドネア

ノニト・ドネア
- 出身国 :フィリピン
- 年齢 :37歳
- 身長 :170cm
- リーチ :171cm
- 利き腕 :右利き
- 階級 :フライ→Sフライ→バンタム→Sバンタム→フェザー
- :→Sバンタム→バンタム
- 通称 :フィリピンの閃光(フィリピーノフラッシュ)
戦績 | 46戦 40勝 6敗 |
KO数 | 26KO |
KO率 | 56% |
世界戦 | 22戦 |
最後に紹介するのは日本のボクシングファンにも馴染み深いフィリピンの閃光・5階級制覇王者ノニト・ドネアです。記憶に新しいのがWBSS決勝での井上選手との激闘です。
当時のフライ級最強王者だったビック・ダルチニャンを7RKOで打ち破り一躍名を馳せていたノニト・ドネアでしたが、ドネアの世界的評価を決定付けたのが3階級制覇王者フェルナンド・モンティエルとのバンタム級王座統一戦です。
モンティエルの頭蓋骨が陥没するほどのインパクトを与える衝撃的なKO勝利はドネアを世界的スターに押し上げ閃光の異名と共にフィニッシュブローである左フックの脅威を全世界に知らしめた試合でもありました。
全盛期の頃の動きとはいきませんが現在のドネアはまた違った強さを魅せています。
本来はノルディ・ウバーリ、エマヌエル・ロドリゲス等とWBCのベルトを賭けた世界戦を行う予定でしたが新型コロナウイルス感染に伴い中止となりました。
他の選手同様ドネアも井上選手との対戦を熱望されていて、復帰後はバンタム級のいづれかのタイトルに絡む事が予想され将来井上選手とのリマッチも期待されます!
今後のバンタム級戦線と井上尚弥最大のライバル
噂されているバンタム級のタイトル戦
1.WBC休養王者ノルディ・ウバーリ vs WBC暫定王者レイマード・ガバリョ
2.WBO王者ジョンリル・カシメロ vs WBA王者ギレルモ・リゴンドー
3.WBAスーパー・IBF王者井上尚弥 vs WBO王者ジョンリル・カシメロ
通例ではWBCのタイトルは休養王者と暫定王者の統一戦が優先されると思われるので井上選手の今後のスケジュールはWBO王座の統一→WBC王座の統一となりそうです。
最大のライバル
バンタム級のボクサーで井上選手の最大のライバルとなり得るボクサーはギレルモ・リゴンドーです。
リゴンドーは井上選手が今まで対戦してきた選手とも一線を画すスタイルのボクサーです。井上選手以上のスピードを持っていてアウトボクシングに徹した時のリゴンドーは井上選手でもポイントアウトされる危険性があります。
反面打たれ弱さもリゴンドーの弱点なので井上選手の強打がヒットすれば試合が決まる可能性は充分にあります。
バンタム級において最も危険なボクサーですがもし対戦が実現した場合非常に面白い試合になると思われます。
まとめ
この記事では井上選手とバンタム級の井上選手のライバルについて考察しました。
今後のバンタム級戦線の動向が非常に楽しみですね!

ここまでご覧いただきありがとうございました!!

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